暖房器具をPCに買い替えた

COVID-19流行のせいでここ数ヶ月は延々と在宅で作業している。例に漏れずWeb会議が多くなり、自宅でマルチディスプレイ環境を常用するようになった。そこへ追い打ちを掛けるようにWindowsを使う必要が生じたため、骨董品のデスクトップPCを引っ張り出してきた。ここ数年はmacOSUbuntuだけで作業が完結しており、Windowsが必要な場合でも古いZenBook(下記)で事足りたのだが。

www.asus.com

このZenBookCPUはCore i7 2677M@1.8GHz。懐かしのSandy bridgeだ。2011年当時はこれでもそれなりに活躍してくれたものだが、現代でその能力はCore i3の50%に満たない。

https://www.cpubenchmark.net/compare/Intel-i7-2677M-vs-Intel-i3-1005G1-vs-Intel-i3-1000NG4/880vs3560vs3714

残念ながらこのZenBookでChromeなんて立ち上げた日には、なけなしのメモリー4GBが一瞬で食いつぶされてしまって全く作業が進まない。そこで、別の骨董品を引っ張り出してきたのである。それがこちら。

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AMDAMDAMD

ascii.jp

構成はFX-8150、RAM 16GB、Radeon HD 6850と、AMD縛りでほぼフルカスタムにした。SSDは直後に発売されたIntel SSD 520に換装済みで、当時のAMDマシンとしてはそれなりに高い性能を持っていたはずだ。FX-8150は物理8コアかつTDP125Wとすることにより、発売当時に対抗馬であったCore i7 2600K(物理4コア、TDP95W)とも競合できるスコアをたたき出している(下記)。

https://www.cpubenchmark.net/compare/AMD-FX-8150-Eight-Core-vs-Intel-i7-2600K/263vs868

ただ、お察しの通り、シングルコア性能で当時のAMDIntelに遠く及ばなかった。下記の比較ではその結果がよくわかる。

https://www.cpubenchmark.net/compare/AMD-FX-8150-Eight-Core-vs-Intel-i7-3960X-vs-Intel-i7-3930K-vs-Intel-i7-2700K-vs-Intel-i7-2600K/263vs903vs902vs881vs868

TDPがほとんど変わらず2コアも多く備えているにも関わらず、FX-8150のスコアはi7 3960Xの6割にすら達していない。ぴえん。

ちなみに現在のAMD Ryzenシリーズの物理8コアと比較した結果がこちら。

https://www.cpubenchmark.net/compare/AMD-FX-8150-Eight-Core-vs-AMD-Ryzen-7-3700X/263vs3485

TDPが半分しかないCPUに5倍くらい差を付けられているので、もはや計算チョットデキル暖房器具である。数年前までは現役だったが、実際夏場に使っているとつらかった。

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赤く光っているせいで余計に暑苦しい。

 

Radeon HD 6850はというと、Geforce GTX 580には遥か及ばないものの、GTX 550 Tiには優位であった。

https://www.videocardbenchmark.net/compare/Radeon-HD-6850-vs-GeForce-GTX-550-Ti-vs-GeForce-GTX-580/45vs16vs68

それも現在ではハイエンドに遠く及ばず、4Kで作業なんて夢のまた夢である。

https://www.videocardbenchmark.net/compare/Radeon-HD-6850-vs-GeForce-RTX-2080-Ti-vs-Radeon-RX-5700-XT/45vs3991vs4111

そんなこんなで、必要に迫られてデスクトップPCの新調に至ったわけだ。そう、これは必要なことなんだ。私のせいじゃない。私は何も悪くない。

 

で、今回もCPUは懲りずにAMDのやつ!

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GPUはやんごとなき事情によりNVIDIA

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そして浮気した罰が当たってVGAは潰れて届く。Radeon VIIの在庫を枯らしたAMDが悪いんだ、私は悪くない。アウトレット品だったから外箱破損は覚悟していたが、その外側のさらに外から潰れてきた。ダメ元で代品手配をお願いしたら、無事にきれいな子が届いた。

Radeon VII、GRAM16GBは魅力的なので、在庫があったら買ったのだけど。中古が放出されたら増設しようかな。

 

その他も含めたざっくりとした構成は以下;

CPU: AMD Ryzen9 3900X

M/B: MSI MEG X570 UNIFY

RAM: G.Skill Ripjaws V 128GB (32GBx4) DDR4 2666Mhz

SSD: CFD CSSD-M2B1TPG3VNF (1TB)

VGAMSI GeForce RTX 2080 SUPER VENTUS XS OC

Case: NZXT H510i Red/Black

PSU: SUPERFLOWER Leadex 3 Gold-ARGB 850W

不安要素があるとすればCPUクーラーをRyzen9付属のWraith Prismにしている点。別のクーラーをつけてもよかったのだけど、それなりに使えるのであれば使ってしまおうという意図。後は、増設し始めるとPSUの容量が若干不安か。

 

AMD A10を使って組んだPCが最後の自作だったけど、最近のPCがさらに組みやすくなったからかサクサクと組み進められてほどなく完成!

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普段、ファンのLEDは切っているのだけど、PSUだけは明かり代わりにつけている。

今回はスッポン回避のために付属クーラーのグリスを除去した以外、ほとんど特別なことはしていない。

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ヒートパイプがCPU接触面へ入り込むタイプ。付属クーラーに塗布済みのグリスがえらく硬かった。そりゃあスッポンするわ。

物理12コア(論理24コア)の図。研究室で使っていた解析サーバーに比べると壮観さに劣るけど、価格差を考えたら十二分。

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モリーも128GB。これでデータセットがよほど大きくない限りは耐えられるはず。

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不安要素であったCPU温度は平常時で50-60°Cの間を行ったり来たりしている。具体的には「50°Cを下回るとCPUクーラーの回転数低下->CPU温度が60°Cまで上昇->CPUクーラーの回転数が上がる->50°Cへ」を延々と繰り返す。音が一定ではないのが気になる。マザーボードの仕様だろうか?

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UserBenchmarkの結果は以下。

UserBenchmarks: Game 125%, Desk 152%, Work 161%
CPU: AMD Ryzen 9 3900X - 85.1%
GPU: Nvidia RTX 2080S (Super) - 139.1%
SSD: CSSD-M2B1TPG3VNF 1TB - 426.7%
RAM: G.SKILL F4-2666C18-32GVK 4x31.8GB - 85.8%
MBD: MSI MEG X570 UNIFY (MS-7C35)

https://www.userbenchmark.com/UserRun/30401566

CPUのスコアが予想スコアと比べて低い。おそらく付属CPUクーラーの能力不足でクロックが上がり切らないことが原因。Ryzen7を想定して設計されたのだろうから仕方ないか。

とはいえ、冷やしきれないのであればRyzen9 3950Xのようにクーラーなしで売ってほしい。3900XTもクーラーなしでかつ3900Xと同価格で売るようだし。10USDでも価格差があればまだ納得できるが。

※7月16日時点の実売価格は、3900XTの方が3900Xより数千円高いため、卸値も多少差がつけられているように思う。(2020年7月16日追記)

 

これまでの作業でCPUがネックになったことがないのだけど、もしも動作クロックが上がらないようならCPUクーラーを変えないといけない。H510は280mm以上のラジエーターを前面にしか装備できないため、CPUとGPUを水冷しようと思うと若干手狭である。そうなるとケースも買い替える必要が出てきて…。マネーイズパワー…。

 

というわけで、8年ぶりにメインのデスクトップPCを新調した。8年前と一番違うのはAMDの立場で、Zenアーキテクチャの登場によってIntelに対して優位に立っている。暖房器具Bulldozer以来ハイエンドCPUを買ってあげられなかったけど、ちまちまとAPUを買ったり布教したりした甲斐があったわね。

搭載メモリー量や扱うデータ量はサチっている感じがあるので、今回のPCも8年くらいもってくれないかな。次の買い替えではCPUもGPUAMDが迷わず選べるような状況になっていればよいのだけど。