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モルカーなるものが流行っているらしい。数年前はPoiPoi言ってたオタク達も、今はPUIPUI言っている。オタクは半濁点に弱いので仕方ないが。

 

さて、当たり前だが地球上において、四肢の代わりに四輪が付いており、さらに人がその内部へ入り込んで任意の方向へ移動できる哺乳類(のような)生き物の存在は知られていない。故に、このモルカーなるものは想像の産物であるが、その車体(?)構造と実現可能性について以下へ垂れ流す。

脊椎動物脊椎動物たる所以は脊椎、すなわち内骨格の存在である。モルカーも見た目は脊椎動物に近く、内骨格を持つと推察される。では、モルカーのように自らの内部で強固な骨格に囲まれた空間を作り上げることはできるのだろうか。

この疑問に一つの回答を与えてくれる生物がいる。カメだ。カメは腹背にそれぞれ堅い甲を持ち、内部に臓器を格納する。よって、モルカー体部のような骨格の形成は不可能でないと考えられる。

ただし、カメの脊椎は頭の後方で湾曲し、背甲の腹側を通過して尾方へ向かう。モルカーは頭部上方に窓のような構造が認められるため、この部分を脊椎が通過しているとは考えにくい。よって、モルカーの脊椎は車体の内部を通過して尾方へ向かうか、腹側をまっすぐ尾方へ向かうかの2通りが考えられる。いずれにしても天蓋の形成はカメと異なるように見受けられる。

では、モルカーの天蓋はどのようにして形成され得るだろうか。一つの可能性としては椎骨横突起の背側へ向けた伸長と伸展がある。この場合、天蓋部の正中で両側横突起の癒合が生じると考えられる。モルカーの内臓は人間が入る空間の下方で肋骨により堅牢に守られるため、合理的である。もう一つの可能性として、天蓋肋骨説がある。すなわち、モルカーの内部を肋骨が上行し、両外側方へ向けて傘を描くように走行することで、天蓋と車体側方を形成する。しかし、この場合はモルカーの内臓と人間の間に骨でできた隔壁が存在しないため、前述の可能性と比べてやや合理性に欠ける。個人的には天蓋横突起説を押したい。

モルカー前部側方の骨格については、頭蓋骨の外側から突起が伸長し、天蓋の骨格と癒合しているのかも知れない。モルカーのドア部については、肩甲骨や大腿骨で説明が可能と考える。車輪部についてはおそらく運動ニューロンが投射しているが、前輪は手、後輪は足(脚ではない)に相同であると考えればよいだろう。車輪自体は人間の手で後付けされたものである可能性が高い。

モルカーの骨自体の性状についても様々に考えられるが、骨が折れることを前提に考えると、鳥類のように脆い骨の方がより安全であると考える。骨が硬いと、事故で骨折した際にその骨は乗車している人間の安全を脅かす凶器となる。そのため、軟部組織を貫通しない脆い骨の方が、人間の安全という面で評価が高くなるだろう。

続いて、車体表面について考える。車体表面で最も問題になるのは路面に近い部分だ。モルカーと路面舗装のどちらが先に出現したかにもよるが、画像を見た限りではモルカーの腹部はかなり路面に近い。そのため、皮膚表面の角化が不十分だと、モルカーの腹部皮膚はあっという間に傷だらけになってしまう。故に、モルカーの腹部表面は相当に角化が進んでいるのではないだろうか。もしかすると、カメのようにかなり硬くなっているのかもしれない。

 

以上、モルカーの実現可能性についてざっと考えてみたが、意外とどうにかなりそうな気がしてきた。気が向いたらモルカーの生理学についても考察してみたい。